楽しみの代償Troy Mcmurray Interview

 

 トロイ マクマレイは、一般社会からは360°の間に人に向かって中指を立てるのが好きな、無骨な風貌のストリートライダーと思われているだろう。そうは見えないけども、トロイは、ライディングを、このスポーツを前進させる事に、持てる力を全てつぎ込んでいる人間だ。トロイは最近10カ月を怪我の治療に専念していた。そして今、再び自転車に跨がることが出来るようになった。彼は、彼自身の持つ全てのアドバンテージを利用している。このインタビューの写真撮影の後、トロイが本物のプロという事がハッキリした。ESPNが今年、どのクラスでトロイを出場させるかは関係なしに。

 

Ride(以下R:)何年くらい乗っているの?

Troy(以下T:)もうちょっとで16年だ。

R:出身地はデンバー?

T:出身地はデンバー、ネブラスカ生まれ。ずーっとデンバーで育った。

R:今は南カリフォルニアに住んで、何をしているの?

T:トレイルライディングを上達させようとしてる。

R:それがここに来た理由?

T:そう、トレールとガールフレンドだ。ガールフレンドはこっち(カリフォルニア)でやんなきゃいけない事がたくさんあるし、それだけでなく、俺もトリックができるし、それを仕事にも生かせる。ここは雪が絶対降らない、ってのもあるけど。プラス、寒いとネジを入れた足が調子悪いし、この温暖な気候のためにここに来ている。

R:ネジを足に入れる事になった経緯は?

T:膝の怪我にのせいだ。

R:どの位自転車から離れていたの?

T: 怪我した後、2カ月間、自転車から離れていて、それでもう良くなったと思っていた。そんでもって、S&Mのランプ(会社の倉庫の中にランプおいてある。)で、テイルホィップからグラインドに行こうとしたら、またやっちまった。それ以来、ハデにこけて足をつくと怪我するのがクセになってた。だから医者にちゃんと行って直した。最近頻繁にコケても、膝がイッちゃう事がないから、今ン所うまく行ってる。

R:自転車に乗れる事が、凄く嬉しいみたいだけど?

T: 最初に手術した時、コロラドで一緒に乗っていた奴らが、「これから乗りに行くから」と行って、俺を1人残してみんな行ってしまった日々があった。俺は1人家の中で座って、マジに泣いた。...乗りに行けなくて涙が出た。医者が、また乗れる様になるまで少なくとも10カ月は掛かる、と言った時、この世の終わりかと思った。なんとか手術から10カ月が過ぎて、やっと乗れるようになって、俺はビビった。前は出来たことが出来なくなってる!でもまだまだやれることは沢山ある、と思った。俺が昔からやっているけど、未だに誰もやっていないテクニカルなトリックが。だからまたそれをやり直して行けば、誰もまだそれを見ていないから、それはある意味、新しいトリックだよな。

R:今年もまた、ESPNのコンテストが始まるけど、君の出るクラスはどうなるんだろう?

T: たぶんアマチュアって事になるんじゃないかな。それに関してはお手上げだからな。もしESPNのコンテストにでるなら、あいつらが考える限り、俺はアマチュアの一人ってわけだ。

R:何故なら...

T: 何故なら去年の成績から選ばれた30人の招待選手のみがプロとして出場できるから。去年は1年中怪我に泣かされてたし。98年の最初の方のコンテストと、X-Gamesしか出なかった。

 X-Gamesでは、出れた事に自信をもっていたけど、その後、タイヤのトラブルもあったし、なによりコケて、膝をヤッちまった。2日間大人しくしてて、ショーン(マッキーニー)の家のスパインで180フルバーフリップをしようとしてまた同じ所をやった。しかも(X-Gamwsでの)ダートジャンプの前日に。だから元々貰える$400と、(X-Gamesの決勝に出場した競技者は全員貰える。)会場でタダ乗れた事だけ。(笑)でも他の奴らみたく、金の為に出た訳じゃない。ESPNの考えなんて分かんないね。

R:落ち込んだ?

T: 正直言うとね。頑張って来たからね。15年間、プロになるためにやって来たんだから。どんな時もプロになることが全てだった。でも、ブームによる空騒ぎが終わるまで、プロに転向したくなかったけどね。それでESPNの最初のコンテスト(S.Padre Island, Texas)、臨時に行われたX-Gamesにプロで出場することに決めた。2年間、ESPNのコンテストに出場し続けて、結果、43人の、いずれも筋金入りのライダー達が出場する中で、総合9位を取ったんだ。2年間、怪我もあったけど、バートのライダーがストリートに出場する中で総合9位を取れたんだ。勿論ジェイ(ミロン)や、(デニス)マッコイ、(デイブ)ミラ、その他のバートのライダーは抜けなかったけど。確かに、バートのライダーはこのスポーツの花形だ。でも、バートのライダーにはバートに専念して、俺らストリートライダーにはリアルストリートのコースで乗らしてくれれば、と思う。いやらしい助走路を付ける代わりに階段の真ん中にハンドレールを付ける。とか。

R:コンテストのネームバリューで、プロかどうか決められちゃうのかな?

T: コンテストは何も意味しない。でもスポンサーの目を引き付けようとする瞬間、金を得ようとする瞬間、金を払おうとする瞬間、生活のために金を稼がなくていいなら、仕事はしたくない、って思いがフト浮かぶね。この世界の奴らは、俺が金のために自転車を食い物にしているとかホザいてる。俺にとって金を稼ぐ、ってことはライディングの進歩に繋がってる。一生懸命働けば、それに見合った物を得れるから。俺はかつて、コロラドで、建設会社を3年ほど経営していた。その時の俺にとっては、大金を稼ぐことが全てだった。でもその後、俺はS&Mから$200Primoから$300貰う代わりに、大金を稼ぐことを止めた。それまで俺は月に$45000を稼いでいたけど、それが一気に月$500に落っこった。ライフスタイルは今までと掛け離れた物になった。でもそう決めた以上、全てを変えていかなければならなかった。ESPNコンテストにプロとして出場した日、それは会社を閉める日になった。端から見れば、メチャクチャな事だというのは十分わかっていた。でも俺は究極の目標のために全てを捨てた。プロになるために。プロでいる間、誰もが、俺が一日中外で、オリジナルのトリックに挑戦していことを尊敬してくれていた。数年前に初めてダートジャンプのコンテストに出場した時、誰も360°をしていなかった。俺は360°だけをやりまくった。その後、コンテストでは以前より多く、360°が見られるようになった。俺は、自分が関わって来たことを進歩させることが出来た、と充実感を感じた。ストリートでも、自分がやりたい、と思っていたことを始めて、それが進歩に繋がってる感じる。俺はこのスポーツを進歩させた、ひとつの基準を作った、と言われたい。他のライダーに、尊敬の眼差しで、「あのトリックをいつか出来るようになりたい」と言わせるような。俺は最高のストリートライダーにならなきゃ、とは思わないが、自分らしくあるために、プロになる必要がある、って今まで生きてきたからね。

R:ボクが子供の頃、プロは、コンテスト以外のときはいつも自転車に乗っていると思っていた。キミはまさにその典型だね。

T: そうだな、いつでも乗ってるな。でもプロがみんながそうとは限らない。マイク(エスカミラ)みたく。俺はあいつを有名にするために、プロBMXライダーを世の中に認めさせようとしてきたわけじゃない。マイクは好きだよ。でもいつも奴のまわりにいると、1年のうち8ヶ月もスノーボードをやってるとかを自慢してるんだ。俺にとっては、プロ、っていうのは乗ることそのものだ。確かに俺もプロに上がる前、自転車に乗る時以外はスノーボードに明け暮れていた。(トロイの出身地、デンバーは、有名なスキーリゾートでもある。)働かない時は、スノーボードをやらない日は無かった。確かにスノーボードは面白い。でもプロになって以来、全くやってない。それはただの娯楽であって、「5ヶ月連続でヘリコプタースキーに行って、チャリンコには2回も触らなかった。」なんて自慢出来ることじゃない。しかも、乗ることで月に何千ドルもの大金を貰っていて、それをヘリコプタースキーに使う?それは本気で毎日乗ってて、新しいトリックをすることで、このスポーツを進歩させようと頑張っている奴らに失礼だ。山にいってスノーボードすることなんて、ライディングを進歩にさせる事になんか、これっぽっちもならない。

R:プロはどうであるべき?

T:昔は、エディ・フィオラとか、ブライアン・ブライザー、マイク・ドミンゲスらを尊敬していた。今考えると、イヤらしい髪型で、ポルシェやフェラーリをコロがしてたり、ゴキブリみたいなバイクに跨っている写真ばかりが雑誌に載っていたけど。俺は未だにルームメイトと住んでるし、持ってるクルマもボロい。それはかつての俺が考えていたものとは違う。でもそれはなによりもいいことだと思う。くだらないユニフォームで着飾る必要もないし、かつてはみんなマヌケなユニフォームを着せられて、まるで金のためにそういうバカな格好をしているようだったからね。最近はライディングで金を稼げるけど、それだけだ。運が良ければ、スポンサーの靴やTシャツを着ることで、金を貰えるかもしれない。朝5時に起きて、仕事へ行って、チャリンコが乗れるくらいの体力が残っていることを期待しつつ家に帰るのと比べたら、いい生活だ。それが俺がプロであることを尊敬する理由だ。俺自身、なんと呼ばれようともね。ライディングに対して金を貰ってるんだ。そりゃ俺だって乗りたくない日だってある。ほとんどそういう事はないけど、そういう日は乗らない。でも忘れちゃいけない。それで金を貰ってるんだ。長い目でみてそれがライディングにいい影響を与えるなら、休む、と考えているだけだ。金を稼ぐために働かなきゃならないなら、俺はそうする。でも幸運にも、神は俺にスポンサーをくれて、仕事を持つことなく自転車に乗れるようにしてくれている。それには本当に感謝してる。

R:神を信じているの?

T:神の存在は信じている。神と会話すれば、どこが俺の居場所か教えてくれる。窮地に陥ったとき、誰もが「神様、どうかお助けください。私を導いてください。」って祈るだけさ。神の前に並ぶ、天国にいる自分の知っている人に、「お助けください」ってね。で上手く行かなかったら、「分かりました。神のお導きのままに。」ってなる。そうすればたいてい上手くいく。我々の父、聖なる霊に限れば、またはそれと対話したいときはいつでも、そういった類全部は知らないけど、因果を正しい方向にもっていってくれる。人生を正しい道に導いてくれる神がいる限り、神を信じる。神はみんなに天命を与えているんだ。でも誰もそれに触れることはできない。本当に。

R:ノーブレーキにしたことについては?

T: 俺がショーン(マッキーニー)の家でチェイスがダブルディケイドをやるのを見た時、俺は衝撃を受けた。人生で一番印象に残った出来事だった。ダブルディケイドをノーブレーキでだぜ?しかも、チェイスはそれをスムースに決めて、その瞬間、リアタイアは1インチも地面から浮き上がっていた。彼は自転車を拾い上げて、投げつけ、言った。「こうじゃない!こうじゃないんだ!」彼はあたかも決まることが分かっている事のようにやった。俺はブレーキがあってもなんとかディケイドが出来るくらいだが、彼はそれをダブルで決めた。しかもメガスピン系のトリックを延々とやって、で彼のタイヤが地面から離れた。彼はただただ凄い。

 ゴンズのことはいつも気にしてる。彼はトリックを実験するためにブレーキをつけている。俺の友達のScott Fyfeなんてフロントだけで走ったりね。俺もここ3年くらい、ブレーキを付けたり外したりしてたけど、チェイスを見た後、ずっと外すことに決めた。みんなそれがただ凄いことだと思っているみたいだけど、しばらくして、ブレーキ無しじゃ絶対無理、と思っていたトリックが出来た。それがチェイスの感じていることを自分も感じ始めた日だった。チェイスは別格だ。ブレーキをつけて10年くらいやってきたトリックを、ブレーキ無しで決めたときに感じる達成感は格別だ。ゴンズ、スコット、チェイスが俺がブレーキを付けなくなったキッカケを作ってくれたね。

R:みんなキミのことを喧嘩好きと見ているけど、真実はどうなの?

T:昔はその通りだった。今はそれを変えようとするのはやめた。俺は短気だからね。喧嘩するときは、プチッとキレちゃうんだ。喧嘩が好きかどうかは分からないけど、時折、友達でさえも俺の犠牲になってるんだ。もし誰か下らないことを言っていて、喧嘩の相手を探しているときに、俺が周りにいたら、俺が相手になってやるね。

 でも1年半前、中身の詰まったバドワイザーのビンを目に受けて、それ以来右目が不自由なんだ。そんときも何人かの目や鼻を殴ってやったけど、たぶん23人だと思うけど、まるで先月の事のように思い出せる。けど、基本的にこの2年間はおとなしくしていた。全く喧嘩せずにね。もう俺も26だし、ちょっと年取ったかな、って思うときもある。バーで、数え切れないくらい喧嘩もしてきたし、まだ喧嘩を売ってくる奴がいるなら相手をするけど、でももう昔のように、自分から喧嘩を売りにいくマネはしないな。

R:お礼を言いたい人は?

T:沢山いるよ。長年いいたかった感謝のきもちを、俺の育ての母親に。彼女は俺の人生を変えてくれた。もう彼女と話すことや、会うことはないけれども、どこかでこのインタビューを見ている気がする。彼女はどこかでこの雑誌を見つけてくれるだろう。彼女と彼女の家族にお礼がいいたい。彼女が俺を育ててくれた。それが彼女たちのせいではなくても、高校を落第してたかもしれないし、もっと悪い方向に行っていたかもしれない。

 それとクリス・モーラーに。S&M以外に自分の居場所は考えられない。ただ彼らの力になりたい。いつの日か、クリスがインタビューを受けたときに、「トロイがいてくれたことに感謝したい」と言われるような。俺が乗りたい、と思う唯一の会社だね。それとショーン(マッキーニー)に。ショーン無しでは俺はどこにも行けなかった。コロラドの俺が乗るのを長い間サポートし続けてくれている友達たちに。Lip Loadに。Scott, Cray, Pat Dehne, Jay Eggelston,俺を進歩させ続けてくれるみんなに。

 

Ride Bmx 19997月号より。

 

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